住宅購入資金として両親などから資金の贈与を受けた場合、「相続時精算課税制度」「住宅取得等資金の非課税制度」という2つの贈与税の特例制度の適用を受けることができます。弊社でも贈与についての相談は実際に多いです。
今回は、「相続時精算課税制度」について発信します。
◆相続時精算課税制度とは?
受贈者が2,500万円まで贈与税を納めずに贈与を受けることができ、贈与者が亡くなったときにその贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額を合算した金額から相続税額を計算し、一括して相続税として納税する制度です。計算の結果、相続税の納税を要しない場合には、遡って贈与税がかかることはありません。なお、2,500万円を超えた分の贈与には、贈与時に20%の贈与税がかかりますが、相続税を計算する際に、支払った贈与税相当額は控除されます。
例えば、父親から2,000万円を贈与されたとします。この制度を利用すればこの時点では贈与税は発生しません。父親が亡くなったときに、相続資産が6,000万円だとすれば、先にこの制度を利用して贈与された2,000万円を加算し、計8,000万円に対して相続税が計算されるということになります。
もし、贈与が3,000万円であれば、この制度を利用することで、2,500万円までの贈与税は非課税、残り500万円に贈与税が発生します。この際支払った贈与税100万円が、相続税が発生した場合にその額から控除されます。
この制度は、一人の贈与者からの贈与額の合計が2,500万円になるまでは、何回贈与を受けても非課税となります。また、贈与者ごとに利用できるため、両親からそれぞれ贈与を受ければ、最大5,000万円まで贈与税が発生しないことになります。
◆適用条件
贈与者:贈与をした年の1月1日において60歳以上の父母または祖父母
受贈者:贈与を受けた年の1月1日において20歳以上(2022年4月1日以降の贈与からは18歳以上)の者のうち、贈与者の直系卑属(子や孫)である推定相続人または孫です。
贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日までの贈与税の申告期間内に、贈与税の申告と一緒に「相続時精算課税選択届出書」の届け出が必要です。
◆ポイント
この制度を利用して贈与した分が、相続発生時に相続税の対象額として再計算されることです。つまり、贈与の際は非課税となっても、将来、相続する額によっては相続税が発生するということです。仮に、相続人が一人だとすれば、相続税の基礎控除額は3,600万円となるので、贈与額と相続した資産の合計額がそれを超えれば、原則、相続税は発生することになります。
※相続税の基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
◆メリット
早期にまとまった額の資産を贈与することができることです。上手に活用すれば、贈与税、そして相続税も非課税のまま、子や孫が資金を必要としている時期に合わせての贈与が可能となります。
◆デメリット
- 同じ贈与者からの贈与について、年間110万円の贈与税の非課税枠となる「暦年贈与」との併用ができないので、この制度を選択した時点で、それ以降、暦年贈与は利用できなくなります。ただし、別の贈与者からの贈与は利用可能です。なお、「相続時精算課税選択届出書」を一度提出すると撤回できません。
- 「小規模宅地等の特例」が利用できなくなります。この特例は、亡くなった人が住んでいた土地、事業をしていた土地、貸していた土地について、一定の要件を満たす人が相続したときに最大80%オフにできる特例です。つまり、宅地の評価が高ければ、大きな節税につながります。将来、宅地を相続することが想定される場合は、どちらを選択するか十分な検討が必要です。
ほんとに税金ってわかりずらいですよね・・・”(-“”-)”
土浦でも高齢化が進んでおり、相続絡みの相談は増えています。
弊社では、税理士と業務提携しておりますので、ご不明な点はお気軽にご相談ください!
次回は「住宅取得等資金の非課税制度」について発信します!
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